JCSニュースレター 第003号
米トレーサビリティについて
平成20年9月に発覚した我が国での事故米穀の不正規流通問題は、
① 事故米穀が多くの段階を経て流通したため、流通状況を把握するのに相当の時間がかかったこと
② 各段階において記録が残っていない場合や記録の提供を拒否される場合があり、流通先や用途の特定ができないものもあったこと
③ 消費者が米加工品や外食、弁当等を選択する際に、原産地がわからないことから、米製品全般にわたって消費者の不信が増幅したこと
④ その背景として、米の用途別の価格差や外国産米と国産米との価格差等があり、不正規流通のチェックが十分でないこと
等、多くの課題が提起されました。
農林水産省はこの問題を踏まえ、米の流通規制、米のトレーサビリティ、米の原料米原産地表示等の米流通に関する課題を実務的に検討し、具体的システムを構築するため、「米流通システム検討会」を立ち上げ、制度の骨格を取りまとめました。
そして、今年4月24日に米の安全・安心を強化する米関連3法
① 米粉・エサ米法(米穀の新用途への利用の促進に関する法律)
② 食糧法改正法(主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律)
③ 米トレーサビリティ法(米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律)
が成立しました。
「米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律(米トレーサビリティ法)」が、平成21年4月24日に公布され、トレーサビリティ部分は公布後1年6月を超えない範囲内の政令で定める日、産地情報の伝達については公布後2年6月を超えない範囲内の政令で定める日に施行される予定です。米穀等の取引等に係る情報の記録に関する法律は、米穀等の販売、輸入、加工、製造又は提供の事業を行う者は、譲受け、譲渡し等を行った場合に名称、数量、年月日、相手方等を記録し、一定期間保持しなければなりません。産地情報の伝達に関する法律は、米穀事業者は指定米穀等(米穀事業者及び一般消費者が購入に際してその産地を識別することが重要と認められる米穀等として政令で定めるもの)について一般消費者に販売又は提供する際に、米穀の産地を伝達しなければなりません。
また、「食糧法改正法」は、米穀の適正かつ円滑な流通を確保するため、主食用以外に用途を限定された米穀については、当該用途以外に使用・販売してはならないことなどを事業者の遵守すべき事項として新たに定めることとし、遵守すべき事項に関する規定は、公布の日(平成21年4月24日)から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行される予定です。
この法律が制定されたことで、完全な食品業界の安心・安全が守られたわけではなく、偽造により利益を生んでいる一部の事業者を迅速に発見し、処罰できるようになっただけにすぎません。トレーサビリティは多大な労力と経済的な負担が伴いますが、食品に対する信頼を確立するキッカケになればその努力も報われるのではないでしょうか。
